続きです、現代パロディです。
何があってもぶれない光の戦士はどうぞ!!











本当に驚いたときというのは、何も言えなくなってしまうらしい。
幸村は手に持っている薄い本の最後の頁を開いたまま硬直した。
目の前にはにこにこと笑みを浮かべながら此方の表情を窺っている男がいる。
どうしたものか、と内心ため息を吐く。
今まで二十年近く生きてきたが、もしかしたらこんなにも本の感想に困ったことはないかも知れない。
当時はあんなに辛いものはないと思っていた、小学校の読書感想文さえ、今よりはずっと苦ではないように思える。それほど、今の状況は苦しいものだった。


「だ、旦那……?どう、かな?」
どう、とはどうなのか。
幸村は此方こそ問い正したいと思った。
この薄い本は同居人である佐助が作ったものらしい。
感想が聞きたいというから読んでみたものの、まさか登場人物が自分(と佐助)だとは思ってもみなかった。
「萌える?」
そんな幸村の思考を知る由もなく、佐助はわくわくした表情を浮かべる。
何と言って欲しいのだろう、幸村は回らない頭を必死で回転させた。
「佐助はこういうのに燃えたぎるのか」
幸村は試合をしているときに燃えたぎるが、佐助はこういうときにたぎるらしい。
それは人それぞれだ、己と違うからと言って受け入れないのはおかしいだろう。
「でも……一番は勿論目の前にいる、だ・ん・な!」
ふふっ!と笑う彼に、一瞬幸村は言葉を無くす。
だが、此処で引いてしまっては武士の名折れだ―ただ、現代で幸村は学生だが細かいことを気にしてはいけない。
「……佐助」
「? 旦那?」
薄い本をぱたんと畳み、幸村は真っ直ぐに佐助を見つめる。
「俺はどんなお前でも愛せるぞ」
「だ、旦那ぁ……っ!」
真剣な顔でそんなことを言われてはひとたまりもない。
幸村の言葉は、いつでも佐助の胸をきゅんと高鳴らせるのだった。








ゆきさ劇場


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お友達にはやたら好評でした。
一瞬劇場だと言うことを忘れるクオリティを目指しました。
こんなん配布してすみませんでした、誰にも怒られていないのでたぶん…またやります……