ぬるいですが性描写を含みますので苦手な方はご注意ください。






あの訳の分からない南蛮の服を着せられてから早一週間が経とうとしていた。
初めて仕える主は、どうやらとんでもない男だったらしい。



「幸村様、もう朝でございます」
きっと彼はまだ己のことを忍だと思っていないだろうが、俺はもう一人前の忍だ。
障子から入るようなことは普通しない。
けれど、主の命であれば普通しないこともしなくてはいけないのである。
だから俺は部屋の前の障子でかがんでいるのだ。
「幸村様」
もう一度名を呼ぶが、これで起きる訳がない。
今日もか、とこっそり溜息をついてからりと戸を開ける。
その音に反応したのか、びくりと部屋の真ん中に敷かれている布団が動いた。
「幸村、様」
黙っていれば端正な顔立ちだ。
初めて見たときに苦手だと思った強い意志を持ったあの瞳は閉じられている。
再び、先ほどよりも少し強めに言えば「んー」と間抜けな声を上げた。
「佐助か……」
「左様でございます」
まだ寝ぼけているのだろう、うつろな瞳に自分の姿が映る。
「うむ、佐助。勃った、慰めろ」
「―ッ!」
当たり前のように言う主の言葉に思わず息を飲む。
まだ一週間しか仕えていないのだが、こういったことを言われるのは初めてではなかった。
むしろ、毎日である。
「ゆ、幸村様……!お戯れはおやめください」
まだ頭は覚醒していないはずなのに、身体は起きているらしく、ごそごそと俺の股を探りはじめている。
「ちょ、や、ん……」
朝起こすときは下履きをはいてくるなと命じられたので、俺はあのひらひらの下に何も身につけていない。
幸村様いわく、これも忍の訓練のひとつらしい。
信じられないが彼が言っているのだからきっと間違いではないのだろう。
「佐助がこのような格好で来るからいけない」
「だ、だってそれは幸村様が……!」
命じたからです、という言葉は声に出すことが出来なかった。
彼の右手が奥まったところまでのびてきたからである。
「ちょ、やだ、やめて……!」
「嫌ならばその口で慰めてくれ」
不意に離された指に喪失感を覚えたが、それはきっと気のせいだと思った。
顔を見ればもう寝ぼけてなどいなくて、あの瞳はまっすぐ自分を見つめている。
俺は黙って彼の裾を捲ることしか出来なかった。

「んっ…ん……」
爽やかな朝には程遠い淫猥な音が部屋を支配していた。
全然経験が無い俺にとって、何もかもが初めてのことだ。
ぺろぺろと自分の口には到底おさまらない幸村様の一物を舐める。
「佐助、手も使え」
「んぐ……」
言われた通り口に入らない部分を手で擦るとずくん、と大きくなったのがわかった。
「幸村しゃま、きもちいいですか?」
「うむ」
ふと不安になって尋ねれば、彼は口元だけ上にあげて笑う。
触られてもいないのに自分の未熟なソコが熱くなった。

どんどん溢れてくるものを舐めていると、佐助と声をかけられる。
「裏筋も舐めろ、そう、そうだ」
先端だけではなく、言葉通りに舌を這わせていく。
腰がむずむずして気持ちが悪い。
「佐助、お前何もしていないのに腰を振っているのか」
「…?」
訳が分からず、目だけを動かして彼を見ると無意識かと再び笑われた。
「だが今はそれでいい、佐助、もっと奥まで銜えられるか?」
幸村様の言葉通りに動く。
そうだ、俺は彼のための忍。
彼のいうことを聞けば褒めて貰える、そう思えばこの行為も意味のあるものに感じられた。
暫くして頭上からくぐもった呻き声が聞こえたかと思えば、咥内から一物を抜き出される。
開放感も束の間、熱い液体が顔に降りかかってきた。
「んあ……」
何が起きたのかも分からないまま、とりあえず降りかかってきたものを濡れた指先ですくい取る。
「これ…な、に……?」
「佐助はまだ精通もしておらぬのか、ならば致し方ない。舐めてみろ」
戦忍として育ったのだからな、と幸村様は一人で納得しているようだった。
言葉に従って指についた白濁をそっと舌に乗せる。
何とも言えない苦味が広がった。
少なくとも好感は持てない。
「まずい」
「そのうち美味だと思えるときがくる、それは訓練次第だ」
あまりにもさらりと言うので、俺はそういうものなのかと納得してしまう。
それほどまでに彼の瞳は力強かった。


「佐助、この訓練はお前を見込んでやっておるのだ。他の者には決して口外でないぞ」
顔にかかった白濁を懐紙でふき取りながら、幸村様は笑う。
その言葉に俺は黙って頷いた。


ふたりだけの秘密




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だんだん絆されていく佐助。メイドは全然役に立ちませんでした。